構ってくれないから


「なぁりょーが。遊ぼうぜー」
「…やだ。本を読む」
「魚ばっかで何が面白いんだよーなぁ遊ぼうよー」
「ゆうまが自分で遊べよ」
「ちぇー…」
あぁつまんない。本当につまんない。
りょーがだから一緒に遊びたいのに、りょーがは構ってくれない。魚ばかりじゃなくて、遊んでよ。
「りょーが!」
「…………」
「りょーが!りょがりょがりょぉーが!りょがが!りょーがくん?りょーがちゃん!……タコ!おいってば!」
駄目だ。返事ところが反応もない。オレより目の前の本のほうが大事かよ。
「オレをかまってよ!」

……ふと、少しうるさい雑音が聞こえなくなったと思えば、「チュッ」という音が耳の近くに響いていた。
最初は何なのかわからず、そのあと、音と同時にやわらかい感覚はオレの頬に伝わってきて、オレは初めて本から視線を上げた。
ゆうまだ。
…ゆうま?
「…!」
一気にわかってしまった。
頬に伝わってくるやわらかい感覚。小さな「チュッ」の音。そしてゆうまが真っ赤な顔。マジかよ。
「な、なな………」
「りょーがが悪いんだぞ!オレを構ってくれねぇから!」
「〜〜〜……わかったよ。」
そう言ってオレは本を閉じ、真っ赤なゆうまを見て、オレも恥ずかしそうに手を伸ばし、手を繋がった。

幼馴染パロ。



2011.11.13