明日は二人で


「…なんだ」
「…ねみぃ」
「だったら寝ろ」
「シャークが寝ないならオレも寝ねぇ……、ぜ…」
「眠いくせに」
「シャークゥー…一緒にねようぜぇ…」
「オレはい、…おい。」
「シャークと一緒にね…た、い…………」
「オイ、遊馬。…チッ(なで」
…………。
「こんなもんか…。?オイ、遊馬。寝るならベッドで寝ろ」
「……ん…デュエルゥ…」
「夢でもデュエルしやがって…起きろ、このヘボデュエリスト」
「ぅん〜……シャークのばぁか…」
「………遊馬。」
幸せそうに眠る顔を撫で、紫は紺色少年の額に軽く指攻撃を捧げた。

「おやすみ。」

独りはすきだ。
兄弟はいないし、両親との関係もよくない。その環境のせいか、ふたりより独りでいるほうが好みだ。
だれかのうるさい声を聞こえずにすむし、余計な情報も受け取れずにすむし、なにより他人の顔を見ながら行動せずに済むのだ。
…この考えは今でも変わっていない。
ただ、少し違うことを気付いただけだ。
デュエルは独りではできない。これと同じように、独りで手に入れないモノは、二人でいる時が手に入れるモノもある。…この馬鹿後輩を見ると、なんとなくそう思った。
「本当に、イラッとする奴だ」
そういいながら、枕の代わりにお腹の上に眠る遊馬の顔をのぞき、凌牙はクスと目を閉じた。
明日はまた、『二人』で始まるのだ。



2011.11.13