見られてたまるか


「かっとビングだー!!!」
「暴れんなこの馬鹿!」
ブランコの上に乗る二人…というより、凌牙の上に座る遊馬は楽しそうにブランコを揺らしていく。
今更だが本当に考えたくなった。何故こいつは彼の上に座りながら遊ばなければならないのだ。
しかも二人で一つのブランコなど、子供か?!
「オイ。いつまで遊ぶつもりだ」
「かっとビングー!!」
「聞けよこのエビ頭!」
「かっとビングだぁあああああああ」
「大きな声を出すな!近所迷惑だ!」
それよりオレの耳は痛いんだ!っという文句は言ったのだが、残念ながら遊馬の頭に届かず、当の本人は先ほどより強くブランコを揺らしていく。
これはあれか。前回コイツの膝で膝枕していたからか!今回はこのお返しか!?
揺れていく。
前に揺れ、後ろに戻れ、繰り返して。
二人の視線は同じ方向、同じところに映っている。
そろそろ止めようと鎖を握るのだが、凌牙はチラリと遊馬の表情を覗いてみる。
笑っている。ものすごく、うれしそうに笑っている。
本当にかっとビングが好きだ、と思う同時、遊馬は口を開いた。
「シャークと!世界へ一緒にかっとビングだぁー!!!!」
「…………………」
一緒ってなんだ。世界ってなんだ。何にかっとビングだ!!といろんな部分をつっこみたくなったが、とりあえず凌牙はしばらく黙ることにした。
今の顔、気付かれてたまるか!



2011.11.13