crazy for you.

「inferiare」雪風様からの相互記念小説です!(携帯サイトと相互しています)
まさか本当に甘めのヨハ十がいただけるとは…っていうか書くのが速っ!
すごく萌えてしまいました…。確かにあそこはすごく色っぽいです。(笑)

本当にありがとうございました!>< これからもよろしくお願いします!

雪風様のサイトはこちらです。inferiare よろしければぜひ!^^



















最近の自分はおかしい。
十代は思う。

ヨハンはデュエルも強いし、一緒にいて楽しい。
でも、最近どうもそれだけではないような気がしてきた。

ヨハンと一緒にいるのは相変わらず楽しいしいけど、何か物足りない。
でも、手を繋いだり、頭を撫でられたりするとその物足りなさがなくなる。
その充足感が心地良すぎて、結果、俺はいつもヨハンにひっついている。
ヨハンは何も言って来いない。
外国人は友人同士のスキンシップが多くて頻繁だって聞いたことがあるから、きっとヨハンの国ではこれくらい当たり前なのだろう。
だから俺は遠慮なくヨハンにひっつく。
反対に、ヨハンが誰かと話していると、無性に寂しくなる。
他のみんなはそうではないのに、ヨハンにだけそうなってしまう。
話に割り混で、ヨハンにデュエルを挑んだりする。
兎に角、俺以外の誰かと一緒にいたり、話しているとなんだかもやもやして仕方ないのだ。

一体これはなんなのだろう?
新しい病気なんだろうか?

本当に最近の自分はおかしい。




crazy for you.




「十代?」
教室にいないと思えば、こんな所でサボっていたのかと、ヨハンは苦笑する。
新緑の匂いを含んだ風が通り抜ける。
随分と風通しがいい。
まぁ、屋上なのだから当然と言えば当然だが。
「じゅーだい。風邪ひくぞー?」
さらさらと十代の髪が風に揺れ、穏やかな寝息が聞こえる。
素直に、愛しいと思う。

この想いを自覚したのは何時からだろうかと、ヨハンは振り返る。
同じ、精霊が見える中まで、デュエルが強くて…
親友だと思っていた。
けど、そう。
あの瞬間だ。

今と同じようによく晴れた日。
その日は珍しく、デュエルもせずに他愛もない話をしていた。
春の陽気があまりにも暖かで、十代は次第にうつらうつらとしていた。
そしてそのまま、ヨハンの肩に凭れかかって眠ってしまったのである。
足を伸ばし、起さない様にと注意深く移動させて、膝枕をしてやる。
「んんっ」
十代は寝返りをうち、ヨハンの方を向く。
仕方ないな、と苦笑しながら見ていた。
そのはずだった。

風が吹く。

さらさらと亜麻色の髪が揺れ、普段あまり見ない耳から首にかけてのラインが露わになる。
ぞくりと背中に何かが走る。
うるさいくらい自分の心音が聞こえる。
それなのに、十代の穏やかな寝息はしっかり耳に入ってくる。
うっすらと開いた口から見える赤い舌が酷く艶めかしく見える。

なんだこれは?なんだこれは!?

今自分は十代に、何を感じた?
男、しかも親友に、何を感じた?

それからだった。
十代が気になりだしたのは。

十代が自分以外の誰かと一緒にいるのが気に食わない。
特に弟分達と談笑しているのを見ると、真っ先に会話に割り込んだ。
自分が知らない十代を知っているのを見せつけられるようで腹が立ったからだ。
親友だからと十代に触れ、挨拶なのだと抱き締める。
もともと十代は日本人にしてはスキンシップが激しい方だったらしく、すぐに慣れてくれた。
最近では十代の方からも自分に触れてくることが多くなった。

ヨハンは十代の頬に手を添える。
自分の中にある形容しがたい想いがなんであるのか、ヨハンは理解している。

「起きないと――…」

そのまま十代に唇を寄せる。
唇と唇が触れあう、その瞬間。

「ぅん…」

十代はゆっくりと目を開ける。
目の前にいるのは――

「よは―…んむぅっ!?」

自分の名を呼ぶために開かれた唇をヨハンは衝動のままにふさいだ。
頬に添えていた手を後頭部に回し、空いていた手で逃げを打つ体を押さえ込む。
逃げ回る十代の舌を絡め捕り、吐息一つ逃がさないと言わんばかりにきつく貪る。
深い、深い、それは。
口づけと言うにはあまりにも荒々しい。
だんだんと十代の抵抗も小さくなってゆく。
ヨハンは何度も何度も、角度を変えて十代の口内を犯す。

どのくらい経ったのか。
短くも長い時間の後、十代の唇はようやく解放された。
絡み合ってた舌が離れる瞬間、銀糸が紡ぎ、切れる。
琥珀の瞳には涙が湛えられ、その後が頬を走る。
長く吸われていた唇は赤く色づき、艶めかしく潤っている。
その口端に呑み切れなかった唾液がつたう。

「よは、ん…」

酷くかすれた声で、十代はヨハンの名前を呼ぶ。
ヨハンは答えるかわりに、口端の唾液を舐め取り、十代の頭を押さえつけていたその手で涙を拭う。

「十代…俺は…」

お前のことが好きなんだ―――……

再び唇が重なる。
今度は優しく、労わる様に。
歯列をなぞり、上顎をくすぐる。
そして、怯える舌を優しく導く。

言葉は無い。

ただ、

ヨハンの首に回された十代の腕が、

全てを物語っていた。



end


『crazy for you.』