リクエスト:罰ゲームで十代が勉強する

こちらはGW期間にリクエストしてくださったノリクラ様への捧げ物です。
ノリクラ様のみ『天才の正体』を持ち帰り可能となります。
一応リクエスト通り、十代が嫌ながら勉強する話だが…はたしてどんな話になるでしょうね?(苦笑)
何が出るかまだわかりませんw
それでもよろしければ、下からどうぞ!
*「The Beginning of Our Allegro」は一番下にいます。*

























思うと、彼は不思議な人に感じた。


カードの精霊が見え、その強さのため何度もデュエルアカデミア本校の代表としてデュエル大会を参加し、分校には彼の名前はかなり有名だった。
学校の出席や勉強は苦手で赤点って聞いたが、デュエルには間違いなく天才だ。
コンボの考え、デッキの作り方。そしてなにより、彼は純粋に人との決闘、デュエルそのモノを楽しむ心。
突然、ヨハンは思った。
近い未来に彼の親友・遊城 十代はデュエルキングになれるだろうと。
初めて、ヨハンは自分ではなく、他人ができることだと思った瞬間だった。

「だからさ、十代」
「…嫌だ」
「デュエルキングになりたいなら早く勉強しろぉー!」
「オレは勉強なんて嫌だぁぁヨハンのバカァ――!」
目の前に置いているレポートの山を見ながら紅茶髪の少年は思わず頭を抱いた。



天才の正体




事情は少しの前。
いつも通りに教室は十代の姿がなく、ヨハンや周りの仲間達も「まただな」と小さく呟いたが、授業の終わりにヨハンは校長に呼ばれた。
理由は、噂の人のことである。
「えぇ?十代に勉強させて欲しい?」
「あぁ。アンデルセン君は既にご存知と思うが、遊城 十代はデュエル以外の授業はよくサボっている。確かに彼のデュエル実力は学園のトップだが、それだけでは卒業をするには難しい」
思い出すと確かにそうだ。
理論に関する勉強なら十代はよく姿を見当たらないけど、人とデュエルする授業なら十代のサボリは見たことがなかった。
もしかしたら、デュエルしかできない世界があれば彼はきっとあの世界に暮らすに違いないだろうな…とヨハンは思う。
「十代は理論テストとかに何分くらい取ったんですか?」
「いいや。私が心配しているのは彼の点ではなく、彼の出席です」
「?」
「今回は見逃して、レポートを書いてくればなかったことにします。そのためにヨハン君、君の力を借りて欲しい」
「俺の?」
「彼の監督をして欲しいです」
っという理由でヨハンは校長に頼まれたが…

「嫌だあぁああオレは勉強なんてゴメンだ!」
「逃げるな十代!これはお前のためだぞ?!」
レポートの山をレッド寮まで持っていくヨハンを見かけた十代は見事に事情を気付いていた。
「逃がさないぞ十代!っていうかいつもそういうことに鈍いのになんで気付いたんだよ!」
「オレは直感がいいんだよ!」
「大丈夫だ、十代!お前は本当はバカじゃねぇからちゃんとやればきっとできるって!俺も手伝うぞ!」
「騙されないぞ!本当はヨハンだってオレのことをデュエル馬鹿って思ってるくせに!」
「仕方ねぇだろう!俺はお前の勉強の姿を見たことがねぇから!十代もみんなにデュエル馬鹿に思われたくないならさっさと書けよ!安心しろ、終わった瞬間はすっきりした気分で気持ちいいぞ!」
「いーやーだーぁー!!!」

「……さっさとこのバカップルな対話を止めろっ貴様らー!」
…嵐は増えた。



天才っというのは一体なんだろう。
彼もよく天才と呼ばれるけど、彼は自分が天才だと思ったことがない。
彼はただ自分なりのやり方で勉強していて色んなモノを学んでいただけだ。
もし彼のような人が天才と呼ばれるなら、彼にとって天才ってどんなモノなんだろう?

「十代はさ」
「ん…?」
「天才って言われたことがあるか?」
思わず目の前のレポートの山から顔を上げた十代だった。
「んな訳ねぇだろ?オレ、デュエル馬鹿だし」
「いや、そういうことじゃなくてさ…」
「それよりさ、ヨハン。休めさせてくれぇー」
「だめだ。早く書け」
「ちぇ。ヨハンのケチ」
「聞こえるぞっコラ」
まだ一枚しか終わっていない十代は舌打ちながらテーブルの上に伏せるが、数妙後に彼はまた再開し始めた。
…顔は嫌そうだけど。
ふとヨハンは完成したレポートを手に取る。
(……ん?)
確かによく読むと誤字は多い。だが、中に書かれている内容は正確で面白く、思わず続きを読みたいくらいだ。普通、いつも赤点を取る生徒はそういう理論のレポートが書けるだろうか。
レポートからヨハンは十代を見た。
「…?どうした?ヨハン」
ヨハンの視線に気付いただろ、十代もレポートから顔を上げる。
だが青髪の少年はただ沈黙のまま彼を見つめ、シャーペンをテーブルに置き、十代は頭を傾けた。
「どうしたんだ?」
「…あ、いいや」
(まさか…な)
頭を左右に振り、ヨハンはシャーペンを取り、再び読みながら誤字を修正はじめた。
…のはずだった。
「アニキィー!もうアニキったら!ご飯の時間っスよー…って、アニキが勉強ぉ――?!」
(あーあ、またかよ)
ドアは開かれ、目の前の景色に呆れた翔にヨハンは溜め息を付いた。

十代が勉強することは本当に珍しいことだろう。
始めに翔、次に剣山、万丈目、明日香やレイもレッド寮まで見に行き、勉強のお土産など持ってきた。
十代も嫌だと思わなく、笑顔で彼らを迎えた。
心配しに見に来るのはいいが…隣に置いている、まだ動いていないレポートを見てヨハンは再び溜め息を付く。
丁度その頃だ。
チラリとため息を付くヨハンを見て、十代は「あ」と声を出し、皆の視線は彼に集まった。
「どうしだドン?アニキ」
「オレ、朝から何も食ってねぇから、腹減ったー…」
「!それはいけないザウルス!すぐに美味しい料理を作ってくるドン!」
「でも、レッド寮に材料なんてないぜ?」
「だったらイエロー寮から材料を持ってくるドン!アニキは食べないと元気が出ないだドン!」
「ボクも取りに行くっス!」
「あ、私もブルー寮から何かを持ってくるわ!」
「あたしも!今から十代様のために愛妻弁当を作ってくる!」
「フっ!仕方ない!この万丈目サンターがすぐに高級料理を奢ってやろう!待ってろ、十代!」
「おぉー!待ってるぜ、サンター!」

(……すげぇーな)
今更だがヨハンは実感する。
十代の一言で周りの人々は彼のために動いて、彼のために見に来た仲間はあっという間に其々の場所に向かい、部屋は一気に静かになっていく。
そして何より、わざとその状況を作り出した彼は凄いと思った。
「…嘘をついたな、十代」
「いや、嘘…えっと、半分かな?」
他の人は気付いたかどうか分からないが、ヨハンはすぐに気付いた。
朝から彼はずっと十代と一緒に行動してきたし、朝頃の時も彼と一緒にご飯を食べ、ヨハンの分まで食べたくらい食べていた。
「なんで嘘をつくんだ?」
「腹減っているのは嘘じゃないぜ?でもヨハンは嫌だろう?」
「はぁ?」
「ヨハンは『静かに居て欲しい』って、顔はそう見えたぞ?」
「――――……」
青眸はゆっくりと丸くなっていく。
それに対し紅茶髪の少年はただ柔らかに口元を上げた。
「みんなが戻るまでやろうぜ。あ、次のページもよろしく」
「お……おう。…ぇ、って外国人の俺に誤字を頼むな!日本人だろうっ十代はぁー?!」
「あ、失敗したかー残念☆」
「残念ってなんだよ!このヤロウー」
そう言いながら青髪の少年は少し苦く笑い、次のページを手に取った。


何故十代は大人しくレポートを書くというと、ある勝負のためである。
『わかった!どうしてもいやならゲームで勝ったら俺は大人しくレポートを持って帰る!十代が負けたら大人しくレポートを書くんだぞ!』
『おう!じゃあオレが勝ったら代わりにレポートを書いてくれー!』
『って自分で書け!』
『なんだよーオレとのデュエルよりヨハンはレポートを選ぶのかよ!』
『だったら早く書けぇー!!』
俺だって自由にお前とのデュエルの時間を楽しんでいるんだぞ!
でもなんでデュエルじゃないんだよ…
デュエルにしたら俺も止まらないからな

っという感じで二人はゲームを始めた。
ヨハンと十代は自分のデッキにある一枚モンスターカードを引き、目の前に裏を上に置く。
目を隠す十代は二枚のカードに一枚を引く簡単なゲームだ。
もし引いたカードは自分のデッキのなら十代の勝ちで彼はレポートを書かずにすむ。
もし引いたカードはヨハンのデッキのならヨハンの勝ちで十代は大人しくレポートを書く。
(頼むぜ!皆!)
『…ドロー!』
迷いもなく、少年は一枚のカードを引き、開く…



「……すっげーショック」
「つまり、十代のデッキも十代が勉強してほしいってことさ☆」
「あああああオレは勉強なんて嫌いだよおおおぉ」
「早く書け!!」
「ちぇっ。分かったよ」
ヨハンの催しもあるためか、ようやく仲間がご馳走を持って帰る前にレポートの半分を終わらせ、二人は彼らと一緒に召した。
…のはいいだが…
「十代!!ねーるーな!!」
レポートを書かなければいけない人はご飯の後すぐに寝てしまった。なんてこと!
「アニキってさ、寝ちまったら何が起きても起こらないんだよー」
ああ、何故かヨハンは寮に戻る翔達に聞かれたことを思い出した…
(ああもぉー!)
思わず頭を抱く。こうなったら食事の前に終らせればよかった…と思うが、フロアの上に幸せそうに寝る十代の顔を見て頬は緩めていく。
(俺って甘いだな…)
軽く頭を左右に振り、ヨハンは十代を横抱き、思ったより軽い感じが腕に伝わる。
(ちゃんと食ってんのに軽いな)
ゆっくりとベッドに臥せさせ、柔らかい感覚が背中に届く瞬間で少年はすぐにニヤニヤしながら布団を握り、あっという間に彼はベッドに眠り始めた。
少しだけ吹き笑い、ヨハンは彼の頭を撫で、レポートを再開しようとする時だった。
視線は何かに引っかかった。
(これは…?)
ベッドと壁の隙に何か紙っぽいモノがあり、ヨハンは頭を傾けながら中のモノを出す。
数冊のノートだ。
(十代のか?)
よく使われているためか、かなりボロボロに見えるノートに何故かヨハンは興味を湧き出す。
少しだけページを開く。
そして、瞳は大きく開いた。
(ふーん…なるほど)
一度だけ目を瞬き、ヨハンは気持ち良さそうに眠っている少年を見て微笑した。

やはりお前は天才だぜ、十代




「うわぁああああレポートオオオォオ―――ッ!」
目覚めると既に朝でボーっとしながら目覚まし時計を見る十代は次の瞬間に悲鳴を上げ、レッド寮は揺れた。
「ヨハァアア―――ン!レポートが、レポートが!」
「おう!おはよ、十代!やっと起きたか!」
「レポート!レポートが!」
「ハイハイ、とりあえず落ち着けって」
物凄いスピードでレッド寮から学園まで駆けつけ、ある扉の前にヨハンを発見したすぐに彼を掴めながら聞く十代。
こんなに心配なら寝るなっつーの…っという考えを心の奥に収まるヨハンだった。
「大丈夫、もう終ったぜ!」
相手を落ち着けさせ様に十代の頭を撫で、ヨハンは応える。
「提出したぜ!」
「え?ヨハンが書いてくれたか!」
「まぁ…内容は俺が考えたモノじゃないぜ」
手にあるモノを十代に渡すと驚いたみたいに肩が跳ねた。
彼のノートだ。
「…読んだ、か」
「あぁ、勝手に読んだことは謝る。でもいつか、俺は知りたい」
もう一回彼の頭を撫で、ヨハンは少し苦く笑い
「お前が皆に自分の努力を見せたくない、その理由」
彼とすれ違った。



ノートには其々のカードのコンボが書かれていた。カードの特性とその能力、そしてどのカードにどんな効果があるか、全てはノートに書いている。(誤字は相変わらず沢山だが)
しかもヨハンが読んでいたのは八十冊目って書いているノートで、数字から読むときっとそれ以前のノートもあるとヨハンは確信した。
でも、朝に周りの仲間に聞いてみたら彼らは信じられない顔をしていた。
『夢でも見たか?』って言われ、ヨハンは頭を傾いた。
十代の努力に気付いた人はいない。いや、もしかしたらレポートを読んだ校長しか気付いていないだろう。
だから初めから校長は十代の成績ではなく、彼の出席を心配していた。

でも多分、一番驚いたのはノートの後半だろうとヨハンは思う。
…コンボに関するページを見て、彼は少し複雑な気分をした。

コンボを作っている間にカードを入れたり出したり、その過程まで書かれていて、消しゴムを使わずにたくさんのOとXがノートに残っていた。
途中にも前のページまで書かれていたコンボを全部Xにしたページもたくさんあった。
彼は頭を使うキャラじゃないと皆やヨハンもずっとそう思っていた。
だがこのノートを読んだら、気持ちはどうだろう?
せめてヨハンは初めて、十代こそ彼の最大ライバルだと分かった。


「隠しに勉強したことは謝るよ。わりぃ」
「だから何で俺に謝るんだよ?」
「でもオレ、確かに勉強なんて嫌いだぞ?」
「まったく説服力がありません、十代せんせい」
「本当だって!でもさ、やはりコンボを作るためにはたくさんのカードも知らなければいけないだろう?だから最初も皆の前に勉強してみたぜ?そしたら皆が『アニキ!風邪でも引いたスか!』や『早く休めろ!』など言っちまって、余計にできないじゃん?だからあれ以来、みんなの前には勉強しないことにしたんだ」
「みんなの気持ちは分かるぜ。俺もすっげぇー驚いた。あんなに書いたとは思わなかった」
「カードは大好きだけどやっぱ種類が多くて覚えられないから、気付いたらノートはあんな数字に…えへへ」
「えへへっじゃねぇよこのヤロウ!…まぁ、これで十代の正体が分かったぜ」
「正体?」
「お前に負けないくらいに努力して来るぜ!」
「?おうー!……あ、ヨハン。疲れそうな顔をしているけど、大丈夫か?」
「お、お前のレポートのせいだろ!!」
「えへっ!じゃあドローパンをご馳走するよ、一緒にいこうぜ!」
「…あぁ」

代わりに書いたレポート。
あの内容は三年生の中に『天才』と言われて選ばれたナンバー1のレポートで発表される日が来るなど、言うまでもない。
(でもさぁ、この日が来たら誰が行けばいいだ?)
(え?内容はオレのノートのだけど、書いたのはヨハンで…)

((…あれぇ…?))
Fin


三期ヨハ十『天才の正体』

ノリクラ様へ
面白いリクエストをありがとうございました!大変お待たせしましてすみませんOTL
こんな文章でもよろしければ…どうぞです本当に!;;
いつもお世話になっております;;



リクエスト『罰ゲームで十代が勉強』



リクエストを見た瞬間、思い付いたのは十代は天才か、馬鹿かとの考えです。途中から何を書いているかちょっと分からなくなってしまいましたが…
私の考えでは十代は間違いなく天才ですね。
でも正直、天才であっても努力がなければ何もできないと思う。だから十代はきっと仲間が知らないところに頑張っていると思います。
…だといいな(遠い目)
長い後記で失礼しました!

ノリクラ様へ、面白いリクエストをありがとうございました…!





下からは少し本編から離れた話なので、捧げることができません。申し訳ありません…。
うちのサイトの前世設定に関している話です。
よろしければどうぞ!









以下のことはヨハンが十代に言えないこと。
ヨハンがノートを発見し、眠る少年の上から離れて続きを読もうと思った頃だった。
「……――――っ?!」
だが、できなかった。

首に伝わってゆく温かさ。
胸に届いてゆく心臓の音色。
耳に入ってゆく小さな息。
彼は今、誰かの上にいる
「…っじゅ、だい」
彼は今、誰に抱きしめられている
「おき、ているか」
聞こえるのは静かな寝息だけなのに、自分を引っ張って首に回す腕は強くて。
ただの寝ぼけなのか。
それとも、…
「…十代?」
返事はない。
「いや、放してくれないか…?ちょっと苦しいぞ」
鳶色の瞳は閉じていて、
「えっと、勝手に読もうとする事は謝るから…からかうのは、よしてくれ」
返事は来なくて、
「レポートは…やるから、な?許してくれよ」
少年はただただ、眠っている。
「なぁ十代。十代、手を放し…」

「ヨハン」
瞳は開いた。
静かに開いていく琥珀の両眸。どこか落ち着くに見えるその色は優しく輝き、少し悲しそうに感じる青髪の少年は見惚れる。
十代なのに十代ではない、かわった違和感。
「……、…じゅうだい…?」
目はゆっくりと細め、紅茶髪の少年は首を回す腕を引き、

口唇は重なった。
「―――――っ…!」
一瞬、青髪の少年は離れた。
突然唇に伝わる感覚に我に戻れ、信じられないように青瞳は大きく揺れながらヨハンは自分の口を手で覆う。
彼の反応を見て、何故かベッドの少年は苦く笑った。
「いつもそうだな」
「?」
「オレからすると、ヨハンはいつも困る顔をする」
(十代から?)
(いつも?)
「まぁ、悪いのはオレだけど」
何のことだ。
彼からとか、いつもとか、ヨハンにはその意味が分からない。彼と十代はただの親友で、キスなんてやったことがないしやるつもりもない。
事故だとしても、アレは以前に十代と皆が酒を飲んだあの晩だけ…
「―――…お前は、十代じゃ…ないのか」
ふと少し前のことを思い出す。
十代が酒を飲んだ晩、彼は何故か十代にキスした。
彼はそのつもりがないのに、体が自分の意識を無視してやってしまった。そしてあの晩、彼は変な夢を見た。
今の自分達ではなく、少し違う世界の自分達の姿。
夢の中には十代もいた。
そして夢にも、彼は
十代に同じことをした。
思うと、目の前の十代は夢の中の彼と似ている。
「お前は十代じゃないだろ?」
「じゃあさ」
瞳は疲れてきたか、紅茶髪の少年はゆっくりと目を細め、
「ヨハンにとって、オレはなに?」
眸を閉じた。



――――…何故か彼は応えることができなかった。
彼にとって十代はなに?頭はすぐに答えが出た。が、言葉は出さなかった。
自分さえおかしいって感じた。
『親友』。
彼と十代は仲間、あるいは友達で親友な筈なのに彼は何故答えられない。
何故迷うかヨハンにはまだ分からない。
だがいずれ、彼はきっとわかる気がする。

手にある紙を見て、ヨハンは静かに目を細める。
『ヨハンはオレの大切な者。でもヨハンにとって、オレはなに?』
ノートの最後のページに書かれている小さな疑問。
(俺にとって、十代は…―――)

ある感情を気付く日々まで、あと少し。


「The Beginning of Our Allegro」
FIN.


2009.07.19