捧げ物・甘めのヨハ十

こちらは携帯サイトにリンク相互してくださった雪風様に捧げる物です。
雪風様のみ『世界が終わる瞬間に…』を持ち帰り可能となります。

サイトの前世設定などまったく関係していませんので、甘いです。(笑)
それでもよろしければ下からどうぞ!
























世界が次の瞬間に終わるなら、君は何をする?


「よはーん」
「はいはい。あとでな」
「えー付き合ってよぉ――よはぁんー」
「……相変わらずスね」
「まったくドン」
いつものように後ろからヨハンに寄せる十代に翔と剣山は溜め息を付く。二人は親友とはいえ、こういうシーンを見ると子弟の彼らにはやはり、
少し気が掛かる。
「よーはーんー」
「あとで」
「……だったら」
「っうわあぁあああ俺の耳元にしゃべるな気持ちわるいっ!」
寧ろ羨ましいス(ザウルス)!!と思わずツッコミしたくなった翔と剣山。
本当に自分に付き合う気がないと分かり、十代はヨハンから離れた。
「ヨハンのケチ」
「だから後で」
「全然きいてねぇし!」
「後でドローパンを奢るから、今は静かにしてくれ」
「…へーい。っというわけでさ。翔、剣山」
先に帰ってもいいから、と二人に手を振る十代。翔と剣山は頷き、自分の寮に向かって教室を後にした。
「アニキったら本当にヨハン君が好きだね」
「まぁ、二人は親友って自称しているし」
「ボクにはわからないス」
チラと遠くなっていく教室のドアに振り返り、翔は呟く。
「親友ってあんな感じなのかな?」
「俺にもわからないドン。…でもぉー」
隣の翔を覗き、剣山も呟いた。
「例え親友でも、俺はこんな行動をしないザウルス」
「ふーん。人はそれぞれってことスね」
「じゃあ俺達も俺達のアニキのために、ご馳走でも作ろうか」
「特にエビフライと納豆が一番だもんね」
「そうそう!」
プッと笑い、二人は販売部に向かい始めた。


今 この時間が最後だと
世界が次の瞬間に終わるなら
君は何をする?
「なぁヨハァーあとどれくらい?」
「もうちょっとだ」
「だからあとどれくらいなんだー」
「俺だって早く終わらせたいんだ。ちょっと我慢してくれ」
レポートを書きながらヨハンは後ろの十代に応じる。
彼も十代に構ってやりたいだが、留学生であるヨハンは定期に報告を書かなければいけないため、十代に構う時間がない。
なにしろ、〆切は今日だからだ。
「ちぇ…」
つまらないと思ったか、十代はヨハンに寄せ、背中を合わせる。
「…………」
ふと天井を見上げる。
(…そういえば、ヨハンならどう応えるんだろう?)
「なぁヨハン」
「だから後で構ってやるって」
「話だけだからいいじゃん?」
「なんだ?」
「ヨハンはさ、」

――――世界が次の瞬間に終わるなら、おまえは何をする?

「なになに。十代は遂におかしくなったか」
「っておかしくねぇし!っつーか例えばの話だけだろ?!」
まさかのツッコミである。
「何って、やっぱりデュエルかな?」
「あはは!オレもだ…」
「なんちって」
突然の返事に十代はチラッと後ろを覗いたが、何もなかったのようにヨハンはただペンを動かせ、レポートを続きながら応えた。
「この質問、何をやっても世界が終わるって設定?」
「え?あ…うん」
「うーん…もし世界が本当に次の瞬間に終わってしまって、俺に一つだけやれることを選ばせるなら…」

大切な人と、一緒にいたい

「…―――――」
後ろの相手の表情に気付かず、次のページを取り、ヨハンは続く。
「最後の瞬間だからかな?俺なら大切な人と一緒に居るを選ぶぜ。最後だから一緒にいたい、最後だから一緒にあの瞬間を向かいたい。止められないなら、これをする」
「……そ、っか」
「十代は?」
終わりの部分を書き、ヨハンは聞いた。
「十代なら何をする?」
「……………」
「?」
何故か沈黙する十代。少し疑問を抱いたか、ヨハンは一旦ペンを止め、後ろを覗いてみた。
「十代?どうした、」
「知りたい?」
が、視線はすぐに少年の手によりレポートに向かせた。
「ってなにすんだよ」
「知りたいか?ヨハンは」
「まぁ…知りたいといえば知りたいだけどさ」
「じゃあヨハンだけに教えてやろうか」
「っと…。……――――」
後ろに向かせられる。
赤のイメージと相応しくない、頬に伝わっていく、思ったより涼しい手のひら。
男には少し勿体ない、サラサラと感じる柔らかくて細い紅茶色の髪。
女にうらやましいと思わせる、濁りのない宝石ように見える琥珀の両眸。
微かな口唇はゆっくりと動き、青き少年の耳元に近づき、
「オレなら、こうする」

『チュッ』と唇は頬に触れた。
「―――――」
ペンは落ちる。
指先から離れたモノはテーブルに落とし、回り、イスに堕ち、跳ね、
フロアに動きを止まる。
十代は口を開いた。
「せっかくだからここにしたかったんだけど、」
ゆっくりとヨハンの唇を撫で、彼は微笑んだ。
「ここは、ヨハンの大切な人の『モノ』だしな」
「…………」

彼は、何にされた?
目の前の人に、なにに…
「じゅうだ、」
「ったく、ペンが落としたぞ?」
あっさりと自分から離れた十代。我に返ると、いつの間に十代はすでにペンをヨハンに返す頃だった。
「早く終わらせてくれよ?ドローペンを奢ってくれるだろう?」
「じゅうだ、」
「んじゃあオレはまた後でもど…」
「ちょ、ちょっと待った!」
腕を掴まる。
まるで逃がさないようにヨハンは十代を掴め、彼を自分に向かせる。
もうレポートを書く場合じゃない!
「ちょっと、待てくれ」
「え、いや。流石にここで嫌われるのはちょっと…」
「いやいやっこの話の前にちょっと待てって」
ペンをテーブルに置き、相手を自分の目の前に座らせ、ヨハンは彼に手を伸ばす。
「うんうん。熱はない。十代の性格ってことは、マジか」
「オレはこんな冗談をすると思うか」
「流石にキスはしないと思う。…じゃあ、次に行こうか」
手を額から頬に触り、ヨハンは問い始めた。
「これは、本気?」
「うん」
「冗談とかじゃなくて?」
「マジだ」
「男だぞ?俺」
「むしろ『女です。』って言われたらショックだ」
「いや、いわねぇけど。…俺が好き?」
「…うん」
「………。…ここは、」
毀れないように、指先は優しく少年の口唇を撫でた。
「既に誰かの『モノ』になった?」
「――――……」
少年は応えなかった。
代わりに指に少し温かさは伝わり、ヨハンは、
応えが分かった。
「一つ、聞いていいか」
「ん?」
「ヨハンのここは、」
同じく指先で相手の唇を撫で、十代は尋ねる。
「…『ここ』を貰う大切な人は、だれ?」
「……知りたい?」
「…………。」
「…………うん」

――――教えるよ

ゆっくりと近づく。
目を閉じながら震える彼へ額に口付け、思わず見開く彼に再び鼻先をキスする。突然の行動に紅き少年は焦ってしまったが、改めて青き少年の笑顔を見ると二人は笑い出し、震えは止まった。
静かに指先は唇を撫で、触れ、二人はお互いに近づき
…口唇は重なっていた。


世界が次の瞬間に終わるなら、君は何をする?

「「――――…大切な人と、キスする」」



世界が終わる瞬間に咲く恋情
Fin.







オマケ

「……………。」
「……………。」
「…今、ボク達、何を見たスか」
「……な、何もみてないザウルス」
「だって、ウソでしょう…」
「そう思って欲しいドン」
「「…―――――フリルめぇええええええー!!」」
この瞬間、ヨハンに向く殺気は咲いたのはまた、別の話。

オチなしで終われ


『世界が終わる瞬間に咲く恋情』

雪風様へ
リンクありがとうございました!お気に入れてくれると嬉しいですが、…っていうかなにそのヨハ十w
よかったらお持ち帰ってください。これからもよろしくお願いします!^^

2010.02.11