好きだよ
柔らかい音色は水の奥へ響き渡る。
小さな波紋は現れ、広がり、消えてゆく。
冷たい水の筈なのに温かく感じる。
光に照らされた流れの上に空が見える。
…広がる暖かい空色の髪糸。
おれをよんでいるのはだれ?
『ふたたび』おれにつたえることがあるのはだれ?
腕で自分を抱き締め、耳を傾けながら彼は微笑する。
ゆっくり、緩やかに静かに
水の奥に少年は目覚めた。
あの時いえなかった だいじなことば